私は、1972年に福岡教育大学(教育心理学専修)を卒業後、福岡市立名島小学校の教諭として勤務していましたが、3年目に体育の授業中に右膝半月板を損傷し、翌年受けた手術が失敗したため再々手術まで受け、丸3年間の休職を余儀なくされました。復職後は、1対1での指導が基本の冷泉小学校「ことばの教室」で難聴・言語障害の子どもたちの指導に携わるようになりました。
休職中から体にいいと思われるあらゆるものを実践しましたが、復職後にリハビリのために始めたヨガとヨガセラピーによって13年ぶりに正座ができるようになりました。ゆっくり深い呼吸をしながら意識を集中していくうちに内から沸き出てくる自在な体の動き。その中で、心身を束縛していたものが自然と解き放たれると、心と体が同時に開放され自由になれることを実感しました。そのプロセスを通して悩みや苦しみを解決していく力、そしてその答えも自分の中にある、ということも学びました。
医療では困難だったことが改善されるという体験をしたことによって、人間の悩み苦しみの根源についてもっと探究し悩み苦しんでいる人たちの力になりたい、学校という枠を越えたところでもっと自分自身を役立てていきたい、と思うようになりました。
当仁小学校「ことばの教室」勤務を最後に20年間の教員生活にピリオドを打ち、九州大学の聴講生として臨床心理学を学びながらカウンセラーとして研鑽してきました。私の研究テーマでもある、「胎児期の記憶」については、当時の心理学ではまだ実証されていない分野でもあり、恩師から「世間で認知されるのに10年はかかるだろう」と言われましたが、「本物は残る」との力強いメッセージをいただいたことが私にとっては大きな支えになっています。多くの悩める人たちのカウンセリングをしながら、『胎児期の記憶現象に関する実証的研究』を心理学の学会で発表してきましたが、信念を持ってやってきたことが徐々に認められてきているのを感じています。
私は、カウンセラーとしてこれから何ができるのか、を自分に問いかけながら日々歩んでいます。カウンセラーとして多くの人たちと関わってくる中で、人間として生まれてきた意味を見出して失っていた自信を取り戻していかれるようサポートしていくことが私の役割ではないか、と強く思うようになりました。人生最初の出発点である胎児期をどう過ごしてきたかが後の人生に大きく影響を与えるものであることを多くの体験の中で学ぶことができました。
これまでの貴重なデータを活かしながら、若い世代の人たちに「子育ては胎内から」ということを伝え、「生まれてきてよかった」と思えるような子どもがひとりでも多くなるよう貢献していきたいと思っています。このことをライフワークにしながら生涯現役を目指していく所存です。